楽天のブラックフライデーがはじまり、先日見かけてどうしても欲しかったBDを二枚買うことにした。
「霧の中の風景」は学生時代にバルト9でテオ・アンゲロプロス追悼特集が催されていたときに、当時からお世話になっていた文芸サークルの先輩に連れられて観に行って、大変心を揺さぶられたことを覚えている。
ぜひまた観たいと思っていたのだが、はじめに発売されたBDが廃盤となり、長らく入手困難となっていた。
以前、ウォン・カーウァイ「花様年華」のBDを2000円ほどで新品で手に入れて、「恋する惑星」も買わねばと思いつつ過ごしていたら、あっという間に廃盤になって高値で取引されるようになってしまった。
BDというものをあまり買わないので、その見極めがとても難しい。
amazonの欲しいものリストに入れているBDの多くも廃盤となってプレミア価格がついてしまっている。
見かけた時に買うというのは、財力が乏しい専業主婦にはなかなかつらいのだが、先だっては同額程度の歌仙兼定ちゃんのうさぎのぬいぐるみを買ったのだし、来月には30歳の誕生日が控えている。
ここで記念となるものを買ってもいいだろうという思いもあって購入することにした。
ちなみに「去年マリエンバートで」は、あのA・ロブ=グリエが脚本を手がけていると知って、同時に購入することにした。
A・ロブ=グリエといえば『快楽の館』がとても好きで、他の作品はまだ読めていないのだが、陶酔するような文章に引き込まれたことを今でもよく覚えている。
映画は映像美も見事だというし、今から観るのが楽しみでならない。
ただしひとりで楽しむことになりそうだ。
というのも私と主人とは本の趣味は重なる部分があったり、おおむね意見が一致するのだが、映画となると好みが真逆で、主人はシネコン映画を好み、私はもっぱらミニシアター系の映画を好む。
コロナ禍の前は毎週末ミニシアターに足を運んで、年百本は映画を観ている妹とは比べるべくもないが、私ももう少し自分の趣味の範囲の映画を楽しんでもいいのではないかと思い立ったのだ。
もちろん主人が好む映画も面白いと感じるし、新鮮さもあるのだが、ストーリー展開に起伏が多いものは観ていてちょっと疲れてしまう。
それよりは映像でしか表現できない映像美や繊細なヒューマンドラマを楽しみたいという気持ちが強いのだ。
これまでうつの病状が思わしくないこともあって、集中してひとりで映画を観るということになかなか踏み切れずにいたのだが、これも良い機会なのかもしれない。
同じことは紅茶にも云える。
主人はもっぱらダージリンが好きで、我が家ではルピシアのダージリンを常備しているのだが、私はどちらかというとアッサムをミルクティーにしていただくのが好きで、主人はミルクティーよりはストレートティーが好きだ。
そういうわけでアッサムは私ひとりの楽しみとして、その季節に応じたアッサムを選んで注文している。
緑茶も主人はあまり好まないので、もっぱら私ひとりで楽しんでいる節があって、気分を落ち着けたいときや、少しメンタルが弱っているときにいただいている。
私は発達障害由来の過剰適応に長らく悩まされていて、なかなかひとりで楽しめる物事が多くなくて困っているのだが、ひとりの時間ももっと大切にできるようになれるといいなと願っている。
ひとりでいるとどうしてもネガティブな方向に思考が偏りがちになるし、気分転換を図るという意味でも、ひとりの趣味の領域を広げていくということは大切なことなのだろう。
今後ともいろいろと模索をつづけながら、ひとりの時間を充実させていきたい。