はじめに
Spotifyをやめて1ヶ月半が経ちました。この間感じたことや、メリット、デメリットについて書いてみようと思います。
以下、長くなるので結論だけ書くと、Spotifyをやめたことはメリットしかありませんでした。
デメリットに感じたことも、よくよく考えてみるとメリットにつながっていることに気づきますし、音楽サブスクをやめたいのにやめられないという方にぜひ最後までお読みいただければうれしいです。
多すぎる選択肢がとてもストレスになっていたことに気づく
Spotifyをやめて実感したのが、Spotifyに加入していた時にはあまりにも多すぎる選択肢があって、何を聞こうか迷って再生して、気分でないと気づいてまた新たな曲を探すということを無意識のうちに繰り返していたなということです。
無尽蔵とも呼べるほどに音楽があって、その中からその時の気分にマッチする選択をするのは思っていた以上にストレスだったのだなと気づきました。
その点、手持ちの楽曲はお気に入りのものばかりで、「こういう気分の時にはこのアーティスト」という明確な指針が生まれて、多すぎる選択肢に疲れてしまうことが格段に減りました。
例えば私は疲れている時には加古隆さんのアルバムや、広橋真紀子さんの音楽を聴くことが多いのですが、それ以上に選択する余地はあまりいらないことに気づきました。
比較的元気な時には難なく選べるものが、疲れていたり弱っていたりすると、うまく選べなくなってしまいますし、ましてや全く知らない音楽に触れるということも、20代の頃は難なくできていましたが、30代の今は少し疲れてしまいます。
新しい音楽に触れる喜びももちろんあるかと思いますし、音楽サブスクの魅力は未知の音楽をディグっていくことにあります。そうしてどんどんアーティストや気に入った音楽を発掘していくことは大切なことですが、今はそこまで無理をして音楽を聞かなくても良いのかもしれないと思うようになりました。
世界中の再生数が表示されない快適さは捨てられない
Spotifyで一番苦手だったのは、世界中の再生数が表示されることでした。どちらかというと同担拒否気味のところがあるので、お気に入りのアーティストが世界で何百万回も再生されていると、「私とお気に入りのアーティストだけの関係」という音楽体験が失われてしまう気がして、それが大きなネックになっていました。
この点はSpotifyをやめてみて一番良かったことだと感じています。大衆浴場で音楽を聞いている気分にはどうしてもなりたくないですし、自分の家のこぢんまりとした浴室で音楽を楽しむように、ひっそりと音楽と私だけの関係を築きたいと思っています。
音楽を聞くという行為は本質的に孤独なものだと思っているので、それを誰かに逐一シェアする必要もないのかもしれないと最近は思うようになりました。
X(Twitter)から遠ざかり、20代の頃は日々ポストしていたサブスクの音楽も、今ではめっきり投稿しなくなりました。
そうして世界とつながらないところで音楽を楽しむという体験を、もっと重んじていきたいなと思います。
iTunesで本当に気に入った曲を単曲買いする
代わりにどのように音楽を聞いているかというと、アーティストにはお金を払いたいので、iTunesで単曲を買うことが多いです。
2007年の発売当初に買った宇多田ヒカルのBeautiful WorldとFly Me To The Moon(In Other Words)[2007 Mix]や、エヴァンゲリオン新劇場版Qが公開された折に購入した桜流しに、この度シンエヴァンゲリオンの主題歌One Last KissとBeautiful World(Da Capo Version)が加わり、新劇エヴァンゲリオンの再生リストが完成した時には感慨もひとしおでした。

毒親育ちということもあり、少しでも前向きに明日に向かっていきたい、と思う日にこのリストを再生して、エンパワメントされています。
もちろん配信でリストを作って流しても良いのでしょうが、そのリストをシェアして再生することはないので、自分だけを鼓舞するためのリストとして聞けるのはやはりうれしいです。
思い出の曲がずっと残ることはプライスレスの喜びがある
今この記事を書いている間、以前主人と観た新海誠監督作品の「君の名は。」の主題歌で、RADWIMPSの「なんでもないや」をエンドレスリピートしているのですが、映画の主題歌は観た当時の空気感や、日々感じていたことまで内包している気がして、手元に残していると、それだけで励まされるなと思います。
当時も今も、まだ心がぼろぼろ状態で、それでもなんとかヒロイン・三葉の家のように、整った家に近づけるように家事に励もうと皿洗いをしながらこの「なんでもないや」を流し、その間に愛猫・冴ゆがのんびりとキャットタワーの上から私の様子を眺めていたことなどを鮮明に思い出します。
そうした音楽のバックグラウンドにある体験を忘れないために、私はこうして楽曲を買っているのかもしれないなと感じます。
つらい日々の中にも輝きを感じる瞬間はたしかにあって、その輝きが曲の中に閉じ込められているように思いますし、それは楽曲を買うという体験を通じてしか得られなかったのではないかなと思います。
配信だと飽きて聞かなくなってしまうこともままありますが、買った楽曲はたしかにiTunesの中に残り続けて、私を勇気づけてくれます。
もちろん配信で音楽を聞くのをやめたことにはデメリットもあります。ただそれは上記に書いてきたことに比べれば些細な悩みと云えるかもしれません。
その都度買うかどうかの判断を迫られる
単曲を買うことが多いとはいえ、4曲買うとSpotify1ヶ月分の値段にはなるので、そうしょっちゅう音楽を買えないことになります。
聞きたいと思った時にすぐに聞けないというジレンマもありますし、Spotifyに入っていればすぐに聞けるのになぁと思うこともあります。
ただ、衝動買いしがちな私にとって、3000円以上のものを衝動買いしてしまうより、255円の曲を1曲買う方がどれほどお財布に優しいかわかりませんし、2曲ほど買って聞くとそれで所有欲も満たされて満足することが多いので、買うのは月に2曲ほどに決めてしまうのも一つの手だと思います。
欲しいCDを思い切って買えないこともある
CDとなると単曲で買うよりももちろんお金もかかりますし、欲しいのにまだ入手できていないCDもたくさんあります。それでもそれもすぐに集めてしまうより、時間をかけて少しずつ集める楽しさもあるのかなと感じはじめています。
好きだったアーティストが、SNSでの発言で引っかかりを覚える投稿をしているのを見て、聞くのをやめたことも二度ほどありましたし、思い出すのがつらい時期に聞いた楽曲は、今はあまり聞きたいとは思いません。
自分が本当に気に入ったCDをじっくり選ぶということは、例えタイパが悪かったとしても、むしろそのスローな楽しみ方を味わう方が私には合っていると感じます。