雪兎の小部屋

病弱専業主婦の日々

かけがえのない地元の書店を守りたい。毎回は無理でも、リアル店舗に行って本を買うようになりました。

昨日は主人と近所へ買い出しに行き、書店デートをしてきました。

この書店は街の小さな本屋さんで、ラインナップは子育て世帯や高齢者をターゲットとした選書が多いのですが、最近の書店には珍しいほど居心地が良く、選書も行き届いていて、つい欲しい本が出てきます。

そこで今回も本を買うことに。

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選んだのは額賀澪『青春をクビになって』、藤岡陽子『リラの花咲くけものみち』、『杉田久女全句集』でした。

このうち『青春をクビになって』は、古事記を研究しているポスドクの青年が主人公ということで、古事記日本書紀を専攻していて、いずれは院進したかったものの、体調不良が原因で諦めざるを得なかった私の心に刺さってしまってお迎えすることに。

『リラの花咲くけものみち』は母親の死別を経て再婚した、父の再婚相手とうまくいかない娘が、ペットの愛犬だけを心の支えに、やがて獣医師の道を志すという成長物語で、実の両親と諸事情あって絶縁せざるを得ず、愛猫・冴ゆを心の糧として生きている自分自身に少し重なる部分があって、買わずにいられませんでした。

『杉田久女全句集』は詩歌を読む量をこなして実作につなげるという意味で、勉強したくて買うことにしました。

お値段合計5000円超になってしまい、私は計算が全くできない人間なので、レジで「あちゃー」となってしまったのですが、こうして小説を読みたくなるということが、コロナ禍を通じてなくなってしまい、ずいぶんと苦しい思いをしてきたので、思い切ってお迎えすることに。

 

書店へ行っても、アニメ調のイラスト風の表紙ばかりで、持病の障害の特性なのか、頭がクラクラしてしまい、なかなか小説を読みたいと思えなくて、いつも読んでいる雑誌コーナーや、比較的落ち着いて見られる岩波文庫ちくま学芸文庫の棚に引っ込んでしまうという有様でした。

書店に苦手意識を持つようになったのは旧居時代からで、おそらく持病の病状が悪いこともあって、店内でけたたましい音量でCMが流れていたり、人のイラストが大きく描かれた色鮮やかな表紙の本ばかり眺めていると、何を買っていいかわからなくなってしまうのです。

お恥ずかしい話ではありますが、それまで大好きだった書店が、とても居心地の悪い場所に感じられてしまって、主人との書店デートも、思うように楽しめない日々が続いていました。

しかし、今住んでいる土地に引っ越して、この書店に行くようになり、たまたま別の障害を持っておられる方が慣れ親しんだ様子で本のお会計を済ませているのを見て、「ああ、彼にとってここはかけがえのない居場所なのだなぁ。なんとかして守らないと」と思うようになったのです。

この書店は大きな音量で音楽が流れたりしませんし、子どもたちやお母さんたちも落ち着いた様子で本をじっくり眺めていますし、その障害者の方も、すっかり慣れた様子でくつろいだ雰囲気が見て取れました。

私自身障害を持っている身なので、なんとかこの場を残していくために、少しでも応援をしたいなという気持ちがあります。

 

ここ最近、本の価格も上がり、読書人口も減る一方なのか、都市部でも書店がなくなって、都道府県の中には地元にひとつも書店がないという自治体があるというニュースを幾度か耳にしました。

私が住んでいる土地も、少子高齢化の流れは着実に来ているので、明日は我が身と思わずにはいられません。

私とて、毎回毎回この書店に足を運んで本を買えるほどの余力はありませんし、重い本を持って帰る体力もあまりありません。

それでも、この場所は社会的に弱い人々にとって、とても大切でかけがえのない居場所なのだと思います。

この場所を明日へとつないでいくために、少しでも足を運んで貢献していければと切に願います。